シルビア S12は、1983年から1990年まで日産が販売していたスポーツカーです。リトラクタブルヘッドライトを採用したスタイリッシュな外観と、豊富なエンジンラインナップが特徴的なモデルでした。この記事では、シルビア S12の歴史や魅力、走行性能や燃費、カスタムやレース参戦などについて紹介します。
シルビア S12の歴史
シルビア S12は、4代目となるシルビアのモデルです。初代シルビアは1965年に登場し、高級感あふれるデザインと高性能なエンジンで話題になりましたが、販売台数はわずか554台にとどまりました。2代目シルビアは1975年に登場し、北米市場を意識したスタイルでしたが、日本では受け入れられずに販売不振に陥りました。
3代目シルビアは1979年に登場し、センターピラーのないハードトップとハッチバックの2タイプを展開しました。角目4灯のマスクと直線基調なボディライン、充実した装備やFJ20E型エンジンの搭載などで大ヒットし、月間販売台数4000台以上を記録しました。
4代目シルビア S12は、1983年に登場しました。当時のスポーツカーで流行していたリトラクタブルヘッドライトを採用し、スポーティなイメージを強調しました。ボディは2ドアノッチバックと3ドアハッチバックの2タイプで、前期型と後期型でデザインが異なります。
前期型は角ばったフロントグリルとテールランプ、後期型は丸みを帯びたフロントグリルとテールランプが特徴です。エンジンは、直列4気筒のCA18E型、CA18ET型、CA18DET型、FJ20E型、FJ20ET型、V型6気筒のVG30E型の6種類が用意されました。
また、姉妹車としてガゼールが同時に発売されました。ガゼールはシルビアとほぼ同じスペックでしたが、フロントグリルやテールランプ、エンブレムなどのデザインが異なりました。シルビア S12は、1989年に5代目シルビア S13にフルモデルチェンジされるまで、約6年間にわたって販売されました。
シルビア S12の魅力
シルビア S12の魅力は、そのスタイリッシュな外観と、豊富なエンジンラインナップにあります。リトラクタブルヘッドライトは、当時のスポーツカーのトレンドであり、シルビアのシリーズでは唯一の採用例でした。ヘッドライトを閉じると、流線型のボンネットとフェンダーが美しく見えます。
ヘッドライトを開くと、シャープな目つきとなります。ボディは、ノッチバックとハッチバックの2タイプで、好みに応じて選ぶことができます。ノッチバックは、クーペらしいスタイルで、トランクルームも広く使い勝手が良いです。ハッチバックは、スポーティなスタイルで、後席を倒すと大きな荷室になります。
また、前期型と後期型でデザインが異なり、前期型は角ばったイメージで、後期型は丸みを帯びたイメージでした。どちらも、80年代の時代感を感じさせるデザインでした。
エンジンは、直列4気筒のCA18E型、CA18ET型、CA18DET型、FJ20E型、FJ20ET型、V型6気筒のVG30E型の6種類が用意されました。CA18E型は、自然吸気の1.8Lエンジンで、135馬力を発揮しました。CA18ET型は、ターボ付きの1.8Lエンジンで、165馬力を発揮しました。CA18DET型は、ターボ付きの1.8Lエンジンで、175馬力を発揮しました。FJ20E型は、自然吸気の2.0Lエンジンで、150馬力を発揮しました。
FJ20ET型は、ターボ付きの2.0Lエンジンで、190馬力を発揮しました。VG30E型は、自然吸気の3.0Lエンジンで、160馬力を発揮しました。これらのエンジンは、それぞれに特徴があり、パワーだけでなく、トルクやレスポンス、燃費や音なども異なりました。また、変速機は、3速AT、4速MT、5速MTの3種類が用意されました。これらの組み合わせによって、様々な走りの楽しみ方ができました。
シルビア S12の走行性能と燃費
シルビア S12の走行性能は、そのエンジンの特性によって大きく変わります。一般的に、ターボ付きのエンジンは、低回転域ではトルクが不足し、高回転域ではパワーが発揮される傾向があります。そのため、ターボ付きのエンジンを搭載したシルビア S12は、加速時にはターボラグを感じることがありますが、一旦ターボが効き始めると、強烈な加速感を味わうことができます。
また、ターボ付きのエンジンは、ブースト圧を上げることでパワーを向上させることができますが、その分燃費や耐久性に影響が出ることもあります。自然吸気のエンジンは、ターボ付きのエンジンに比べて、低回転域からトルクが出やすく、レスポンスが良い傾向があります。その自然吸気のエンジンは、ターボ付きのエンジンに比べて、燃費や耐久性に優れる傾向があります。
しかし、自然吸気のエンジンも、チューニングによってパワーを向上させることができますが、その分燃費や耐久性に影響が出ることもあります。V型6気筒のエンジンは、直列4気筒のエンジンに比べて、排気量が大きく、トルクが豊富なエンジンです。そのため、V型6気筒のエンジンを搭載したシルビア S12は、低速から高速まで力強く走ることができますが、重量が増えることでハンドリングや燃費に悪影響を与えることがあります。
シルビア S12の走行性能は、エンジンの特性だけでなく、サスペンションやブレーキ、タイヤなどの足回りのセッティングにも大きく左右されます。シルビア S12は、フロントにマクファーソンストラット式、リアにセミトレーリングアーム式のサスペンションを採用しました。これは、当時の日産のスポーツカーの標準的なセッティングでした。シルビア S12は、前輪にディスクブレーキ、後輪にドラムブレーキを採用しました。しかし、高性能なエンジンを搭載したグレードでは、後輪にもディスクブレーキを採用しました。
また、ABSもオプションで装備することができました。シルビア S12は、標準で14インチのスチールホイールを装着しました。しかし、アルミホイールや15インチのホイールもオプションで選ぶことができました。タイヤのサイズは、185/70R14や195/60R15などが用いられました。シルビア S12の燃費は、エンジンの種類や変速機の種類によって異なります。
一般的に、ターボ付きのエンジンやV型6気筒のエンジンは、自然吸気のエンジンや直列4気筒のエンジンに比べて、燃費が悪い傾向があります。また、ATは、MTに比べて、燃費が悪い傾向があります。シルビア S12の燃費は、10.15モードで測定されたもので、実際の走行状況によっては、異なることがあります。シルビア S12の燃費は、以下の表に示す通りです。
エンジン 変速機 燃費(10.15モード)
CA18E型 3速AT 9.8km/L
CA18E型 5速MT 11.6km/L
CA18ET型 3速AT 8.8km/L
CA18ET型 5速MT 10.4km/L
CA18DET型 5速MT 9.6km/L
FJ20E型 5速MT 10.2km/L
FJ20ET型 5速MT 9.0km/L
VG30E型 4速AT 8.0km/L
以上が、シルビア S12の走行性能と燃費についての文章です。シルビア S12は、様々なエンジンや変速機の組み合わせによって、様々な走りの楽しみ方ができるスポーツカーでした。また、燃費は、エンジンの種類や変速機の種類によって異なりますが、スポーツカーとしては、それほど悪くないと言えるでしょう。
シルビア S12のカスタムとレース参戦
シルビア S12は、その豊富なエンジンラインナップと高いポテンシャルから、多くのカスタムやチューニングが行われました。シルビア S12のカスタムは、エンジンや足回りだけでなく、ボディやインテリアにも及びました。エンジンのカスタムでは、ターボ付きのエンジンのブースト圧を上げたり、インタークーラーやタービンを交換したり、ECUやインジェクターを変更したりすることで、パワーを向上させることができました。
また、自然吸気のエンジンやV型6気筒のエンジンにも、カムシャフトやピストン、ヘッドやバルブなどを交換したり、ボアアップやストロークアップを行ったりすることで、パワーを向上させることができました。足回りのカスタムでは、サスペンションやブレーキ、タイヤやホイールなどを交換したり、車高やキャンバー角などを調整したりすることで、ハンドリングや安定性を向上させることができました。
ボディのカスタムでは、エアロパーツやスポイラー、ボンネットやフェンダーなどを交換したり、塗装やステッカーなどでデザインを変更したりすることで、外観を変化させることができました。インテリアのカスタムでは、シートやステアリング、メーターやシフトノブなどを交換したり、オーディオやナビなどを装備したりすることで、快適性や機能性を向上させることができました。シルビア S12のカスタムは、個人の好みや目的に応じて、様々なバリエーションがありました。
シルビア S12は、その高い走行性能から、多くのレースに参戦しました。シルビア S12は、日本国内だけでなく、海外でもレースに参戦しました。シルビア S12は、以下のようなレースに参戦しました。
全日本ツーリングカー選手権(JTC): シルビア S12は、1984年から1988年までJTCに参戦しました。シルビア S12は、FJ20ET型エンジンを搭載し、最高出力は300馬力以上でした。シルビア S12は、1984年にはクラス3でチャンピオンを獲得し、1985年にはクラス2でチャンピオンを獲得しました。シルビア S12は、日産のワークスチームであるハセミモータースポーツやインパルなどのプライベーターチームによって走らせられました。シルビア S12は、JTCでの活躍によって、日産のスポーツカーのイメージを高めました。
ワールドラリー選手権(WRC): シルビア S12は、1986年から1988年までWRCに参戦しました。シルビア S12は、CA18DET型エンジンを搭載し、最高出力は300馬力以上でした。シルビア S12は、グループAのカテゴリーで走りました。シルビア S12は、日産のワークスチームである日産モータースポーツインターナショナル(NISMO)によって走らせられました。シルビア S12は、WRCでの最高成績は、1988年のサファリラリーでの4位でした。シルビア S12は、WRCでの挑戦によって、日産のラリーの技術を向上させました。
全日本GT選手権(JGTC): シルビア S12は、1994年から1997年までJGTCに参戦しました。シルビア S12は、VG30DETT型エンジンを搭載し、最高出力は500馬力以上でした。シルビア S12は、GT300のカテゴリーで走りました。シルビア S12は、ハセミモータースポーツやインパルなどのプライベーターチームによって走らせられました。シルビア S12は、JGTCでの最高成績は、1996年の富士スピードウェイでの優勝でした。シルビア S12は、JGTCでの活躍によって、日産のGTの競争力を高めました。
シルビア S12は、その豊富なエンジンラインナップと高いポテンシャルから、多くのカスタムやチューニングが行われました。また、シルビア S12は、その高い走行性能から、多くのレースに参戦しました。シルビア S12は、日本国内だけでなく、海外でもレースに参戦しました。シルビア S12は、様々なレースで日産の名を轟かせました。シルビア S12のカスタムとレース参戦について、少しでも伝えることができたら幸いです。
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